大人になれば
朝、子どもと公園に行き、ただ子どもの動くほうへなんとなくついて行き、なんとなく見たり、時々話しかけたりしていた。
私は子どもと遊ぶことが本当にできないので、自分の好きなようにしている。
まだ下の子は小さいのでいっしょにいられるけど、上の子はもう五歳で、戦隊モノとか、ポケモンとか、色々話してくるけど、申し訳ないほど本当に興味がないので、そうなんだーとか、へ〜とか、すごいねーとか、かなり空返事を返している。
好きな分野の話なら、できるけど。
で、下の子は、シロツメクサをブチブチちぎったり、花の匂いを嗅いだり(わたしのまね)、いた!いた!と片言でアリを発見したりして、かなり面白い。
子どもが普通に地面に座ったので、あ、そうだよね、と思いわたしも座った。
それまで足先が冷えて仕方なかったのがじんわりと足先まで血が通ってあったかくなった。
座ったままで子どものちぎるシロツメクサを手のひらに受けながら、木や空を見ていた。
通り過ぎる人や自転車を見ていた。
向かいのお花屋さんからラジオの音が流れてくる。
開店前のお花屋さんは、なんとなく生き物の生きている新鮮な空気が漂っていて、あぁ、いいなあと思う。
朝なのにもうすごく暑くなってきた。
でもまだ五月。
風は爽やかだ。
いつか今日のことを思い出すのかな。
でもきっと本当には思い出せないんだろう。
捕まえることができない今というものの中に私たちは生きていて、本当は一瞬もそこに留まることはできない。
みんなそれをわかっていても、それはなるべく見ないようにして生きていく。気がする。
そのほうが、都合がいいこともたくさんあるし、そのほうが痛みが少ないから。きっと。
でも、と思う。
子どもの目線で見る世界はいつもよりもずっと広かった。
大人になるってなんなんだろーなーと思う。
わたしは子どもの頃になりたい。
戻りたいわけじゃない、はず。
今のままで、未来のあの頃になりたい。
未来のあの頃のもっといいやつ。
大人ってなんだろうね。
わからないや。