鍵
ここ数日で起きた出来事は私を本当に根底から揺さぶる出来事だった。
その出来事には、全てが詰まっていた。
過去、今、未来のすべて。
自分が選択しがちな、これまでのパターン。
現実に起きている出来事。
妄想、思い込みの癖。
傷付きまくってきた部分、心の痛み。
自分の思いの強さに自分で傷付き、それにより封印してしまった感性。
何を選択するかということ。
コミュニケーション。
もう傷付きたくなくて、自分で閉じた。
そのいちばん柔らかい部分を、いちばん信頼したものにより再び傷付いて、二日間泣き通した。
親が死ぬよりショックな出来事だった。
畳にうずくまって、嗚咽から出てきた声は、
「わたしは、ただ、仲良くなりたかっただけなんだ。わたしは、ただ、大好きで、仲良くしたかっただけなんだ」
だった。
それが私のほんとうの本心だったんだ。
鼻水と涙で顔がぐちゃぐちゃだった。
鳴き声は唸り声みたいだった。
私の本心を、やっとちゃんと聞いてあげることができた。
ずっと蓋をしていて、ごめんね。
もう、これ以上傷付くことはないという体験を実際にしたのだけど、
どうやらそれはたぶん、思い違い、勘違いだった、たぶん。
あんなにグワングワン揺れたのに、宇宙タイミングの重なった一人芝居だった。たぶん。
いや、もしかしたら思い違いではなかったのかもしれない。
ちゃんと私の言葉は相手に届いていて、それを見てその上で、私は無視されているのかもしれない。
けれど、たとえそうでも、誰がいてもいなくなっても、否定されても嫌われても、私は私だと思った。
ぐちゃぐちゃな顔で思った。
好きなものは好きだと、そのままでいようと思った。
思えた。
悲しみのあまりもう傷付きたくなくて自分で閉じた心の鍵を開けることを、私は、自分で選ぶ。
心の鍵を開けっ放しにする。
その先には太陽のような、曇りのない笑顔があることを信じて。