「ロジックではなく、香ってくる感じ」
あとで書くというはなし、そう、結構な高さの塀の上に立ってさくらんぼを取っているご婦人がいて、
マニを三輪車に乗せて歩いてた時に、目をふとあげたら、いて、
わぁ!と少し驚きつつ、おはようございます!と挨拶したら、
あげましょうか?と仰られて、
ちょっと待っててね、とそこから降りて、
たくさんの捕りたてのさくらんぼを持ってきて下さったのだ。
うれしい!ありがとうございます!と受け取り、少しお話をした。
昔はもう一本、さくらんぼの木があったこと、その実は獲っても獲っても次の日には色づくことなど。
鳥がたくさん来ては食べてね、昔は余ったらジャムにしたりもして食べたけど、歳をとるとそれもねぇ、なんて笑ってらした。
きっと、お子さんがまだ小さい頃などにそうしていたんだろう、ご婦人の向こうにその景色が見えるような気がした。
そしてご婦人もその頃の面影を私とマニの向こうに見てくれているような気がした。
御礼を伝えて別れ、マニを預けて帰りながら、頭の中では、何を御返ししようか、昨日知った味噌天神もなかにしよう、あれはとても美味しかった、ちょうど今度誰かにおもたせするならこれにしようと思っていたんだ、よしさっそく買いに行こう!と考えていた。
でも、ふと思った。
さくらんぼをもらったそばから、返すことばかり考えている。まるで言い訳のように。
なんで焦ってるんだ?
ソワソワしてる。
ザワザワしてる。
これは、なんだ?
うわー、うれしい、ありがとう!とただ受け取ることに、罪悪感を感じている、早く返してペイにしなきゃとザワザワしている。
ありがとうとただ感謝して受け取ることにこんなに逃げたいのか。
なんでだろう?
どうしてなんだろう?
あのご婦人は、全く見返りなんか気にしてないのに。
わたしひとりで返さなきゃヤバい!とお尻がムズムズしてる。
なんで?
どうして?
気持ちよく、感謝して、ありがとう、と受け取れないのは、どうして???
帰り道、それを考えながら歩いた。
そして、ザワザワムズムズする、ザワザワムズムズするけど、
とにかく、勇気を出して、受け取ってみよう、と決めた。
受け取ることに、こんなに勇気がいるの?と驚く。
なんでなのか、わからない。
私はこれまでどうしてきたんだろう?
これまで生きているなかで与えられっぱなしなのに、そのこと、どうしてきたんだろう???
考えてそれらしく思い当たることや、こういう心理を調べれば、理由はいくらでも溢れてるんだと思うけど、
頭ではなく、体感でわかりたい。
だから、勇気を持って受け取ってみる。
だからなにも調べない、理屈をつけない。
感じてみる。
そうすると、どうなるか。
(感じ中)
・・・
感謝がもっと沸いてくる。
胸の奥からもっと沸いてくる。
これが体感。
沸いてきたら、
溢れたら、
どうなるだろう?
ロッキンオンジャパンの、星野源くんのインタビューの中に書いてあった、歌詞を書くときのはなし。
「(テーマを)ロジックとして組み込むより、そういう気持ちが香るような歌詞が書けるまで書き直し続けて、香ってきたらやめるみたいな」
ロジックではなく、香り。
感覚。
すごくすてき。